歴史修正主義を批判

 「医療九条の会・北海道」は3日、札幌市内で第12回総会を開催しました。
 総会に先立っておこなわれた、北海道教育大学札幌校准教授の本庄十喜さんによる記念講演「歴史修正主義の克服と歴史認識の共有をめざして」には、60人が参加しました。
 本庄さんは、「南京大虐殺」「日韓合意」「少女像」などの日中韓の歴史認識問題について、「新しい歴史教科書をつくる会」やインターネットなどで拡散されている「従軍慰安婦は性奴隷ではなく、単なる商行為にすぎない」「朝鮮の植民地化や日中戦争の責任は日本にない」などの言説を否定。
 「陸海軍の慰安所規定」などの資料を紹介しながら、「日本軍が『慰安所』設置を指示・命令したうえで建物の設営や女性の確保・移送などをおこない、食料や衛生用品の提供もすべて軍が実行していた」と指摘。「慰安婦」たちのほとんどは人身売買や誘拐、略取によって集められ、強制的な状況下で名誉と尊厳を深く傷つけられたとして、「性奴隷状態に置かれていたことは明らか」と強調しました。
 そのうえで、日本が「解決済み」の根拠にしている「日韓基本条約」には、慰安婦の被害について言及されていないとして、「日本政府が被害者個人に対して法的責任を認め、賠償をおこなうことに障害はない」と強調。「日本の歴史教育は、政府の意向が反映される形で展開されてきた。それによって加害と被害との間の溝を埋めることができずにいる」として、ナチスの加害責任を認めて歴史認識の隔たりを埋めようと努力してきたドイツの研究と教育を評価しました。その一方で「性奴隷という事実はない」などと断定する安倍首相の発言を紹介し、歴史修正主義を批判しました。

・開催チラシ